2-15 功罪の定義と扱い方

賞罰とは、平等化のために扱う特殊な対価です。


功罪は、人間が選んだこと(行為または不行為)のそれぞれに対応させた対価(賞罰)で(人為的に)利害を 調整(釣り合いを取る)しなければ不当であることです。賞別を用いなければ平等を保てないことがらです。


功罪は、正不当だけでなく賞罰が要ることが条件です。 選択が正当であっても不当であっても、賞罰で利害を調整する必要が無い場合もあります。 例えば、「今日はもう疲れたから寝るのが正当」ではあっても、そのことにわざわざ賞を与える必要はありません。 また、他者に害が及ぶ前に改心して正当を選び直した場合は、不当でも罰が要らないことがあります。 ただし、瑣末なことでも高頻度であったり、未遂ではあっても重大な被害を及ぼす危険があったりする場合については 犯罪とするのが正当です。


功労⇔犯罪

功績⇔罪過


犯意・犯罪(平等にするには罰《謝罪及び補償など》が必要である類の不当を選ぶこと)を成立させようとする意思

⇔功心・功労心・功労(平等にするには賞《称賛及び褒賞》が必要である類の正当を選ぶこと)に値することを成し遂げようとする意思 功心と犯意を定義するなら、それぞれが善意と悪意に含まれます。


犯罪自慢の心理は「自らの能力の誇示と他者の追及力不足をあざ笑う」ことです。


復讐(仕返し)そのものを禁じるのは犯罪です。犯罪者がやりたい放題になります。 ただし、八つ当たり(対象が不当)や遣り過ぎ(遣らなさ過ぎも不当)ではなく、正当に行います。


犯罪の定義を知らなければ厳密には犯罪ではありませんが、その殆どは背徳です。


故意犯は、当人が犯罪を認識している犯罪です。知性がある人間が知性を保ったまま犯すことです。

確信犯は、当人が犯罪を認識していない犯罪です。知性化を拒否したか、一度は得た知性を放棄した人が犯すことです。


対象について無知であることで発生させてしまう危害は不可抗力ですので、犯罪では有りません。 ただし、無知であろうとするのを放置し続ければ犯罪です。


心神耗弱・精神障害などのために判断が十分にできないこと

心神喪失・精神障害などのために判断が全くできないこと

自己の制御能力を不可抗力で失ったなら、その人が起こしたことは犯罪では有りませんが、 不可抗力でなく自ら制御能力を捨てたなら、その人が他者に与える危害の多くは犯罪となります。


賞罰で平等化


功罪及びそれに伴って生じる恩讐の欲求は、賞罰で平等化します。


天は罰を与えません。賞についても同じです。賞罰は人が与えるものです。


僭賞濫罰(せんしょうらんばつ)

適正を欠いた賞罰。みだりに賞罰を与えること。度を超して恩賞を与えたり、人に刑罰を処すること。 「僭賞」は度を超して恩賞を与える。「濫罰」はやたらと罰する。「濫罰」は「濫刑」ともいう。

⇔信賞必罰(しんしょうひつばつ)・賞罰を厳格にすること


注意することとして、基本的に礼や賞罰で利害調整を行うのは、双方が知性を持っていることが前提です。 どちらか或いは双方に知性が無ければ、わだかまり(不平等への不満)を消し切れません。 例えば、知性化以前の方に一旦謝罪及び補償をしたら、償いと称して無制限に危害を加えられ続けることがあります。


罪を清算しないままでいることは、相手への支配です。


制裁・失われた平等(再定義後)の関係を回復させるために義務として強制すること


相手に知性が無ければ罰を与えてはならないというのは不当です。 無知であろうとする犯罪者が やりたい放題になってしまいます。 相手を知性化してから償ってもらうのが最善ですが、それが困難なら制裁を加えるのが正当です。 その場合は、屈辱を味合わされたとして逆恨みの逆襲を受けないように注意します。


功罪の平等化


罪の清算方法(罰)にはいくつかあります。


お詫び・謝罪・罪を認めて相手に対して自分が劣等であること(謙譲)を言葉と態度で示すことで、 相手に与えた危害への釣り合いを取ろうとする行為


謝罪は尊厳の償いで平等化を図る行為です。 それとは別に、反省して再犯防止策を作って実行する義務があります。これは加害者だけの義務ではありません。


謝罪を受け容れるときの返事として、なあなあで済ませるのが不当な場合は言葉を用いましょう。 「謝罪していただきありがとうございます。謝罪を受け入れます。」こう言わなければ明確な尊厳の利害調整にはなりません。 謝罪した相手に対して不当に高圧的に接して侮辱する人のせいで、 謝罪が「単に相手に屈服すること」にされています。形骸化した謝罪を、再び犯罪状態からの回復手段として活かします。 言葉以外の部分(態度が悪かったり必要な補償をしなかったり)で謝罪を虚礼にするのは悪質です。


償い・報償・補償・金品や労働力などを差し出して犯罪の埋め合わせを図ること


贖い・贖罪・罪や過ちに匹敵する行為によって、罪や過ちを消してしまおうとすること。つまり、禁固刑や死刑や鞭打ち刑など


補償は利益で、贖罪は不利益で埋め合わせ(平等な関係の回復)をすることです。 犯罪には贖いよりも償いを優先しましょう。


功労への対価


お礼・謝恩・功労を認めて自分に対して相手が優等であること(尊敬)言葉と態度で示すことで、 相手に与えられた利益への釣り合いを取ろうとする行為


結果が利益であっても、他者の冷遇に対して感謝を強制するのは不当です。 感謝は他人の気配りを伴った協力に対して褒賞するものです。 褒賞は人間の意思を伴った功労に対してするもので、復讐は人間の意思を伴った犯罪に対してするものです。 「自然」に感謝しろというのも不当です。


褒賞・金品や労働力などを差し出して功労の埋め合わせを図ること


謝・自ら相手に働きかけて尊厳の平等化を図ること

謝る(礼する・謝恩⇔詫びる・謝罪)



2-14 自己犠牲と利他主義2-16 刑事罰
-----------------------------------------------
目次