2-05 正不当を選択する意思

性善説と性悪説


「人は生まれつき利益を生まれつき好み、それに従えば争いが生ずる。」という荀子(春秋戦国時代の人物)の性悪説。

「人間が悪を行うのは、欲心が本性を覆ってしまうからである。」という孟子(春秋戦国時代の人物)の性善説。


「人人に非ず、知るを以って人とす」「性は猶瑞(瑞は本来さんずい)水のごとし」「性は猶杞柳(きりゅう、かわやなぎ)の如し」 「人間の天性は善でも悪でもなく、杞柳の枝と同じように人為的に善にも悪にもなる。」という告子(春秋戦国時代の人物)。


告子の主張は説ではなく論理として確定しているため、善悪後天論と名付け、

「善悪後天説⇔善悪先天説(性善説⇔性悪説)」として説明するために用います。 元々の性善説と性悪説は、生まれきの性質がいずれであっても礼(道徳)を学んで実践すればいいということを教えるための 取っ掛かりにされるだけのものだったと推定しました。生まれつきの欲求はあっても言語化して自覚した意思はありません。


自他の利害関係に関する意思


正義感・正義に情が伴ったもの

既存の正義感と呼ばれてきたものは、同情心や復讐心や憤りや道徳心や順法精神などではあっても、 それらと明確に区別して特有の役立つ意味を持たせた正義ではありません。


どのように定義すれば正当に役立つかを思考して再定義した善悪や正義は、 道徳(慣習で形成された基準)及びこれまでの倫理では明確化されていなかった概念です。


意思として「言葉で制御」しなければ、正当に利害調整能力を得られません。


理由・ものごとの関係を明らかにする論理

正不当の判断を下すときには理由が必要です。理由がなければ区別が不明瞭のままです。


正当化・対象について正当な(であるという)理由を明らかにする⇔不当化

嘘や形骸に注意します。


善意・正当を選ぶ意思⇔悪意・不当を選ぶ意思

良し悪しと矛盾して混乱を招くので、悪「意」と呼んで区別します。 形骸(言葉と現実の乖離)に注意します。正当と判断していても実行しなければ善意とはいえません。 偽善者が居れば、真善者も居ます。


正義・思考抱務・思考の義務を果たそうとする意思⇔思考放棄・思考義務を果たそうとしない意思

既存の思考過程を思い出すだけでは思考ではなく、何かしら新規の内容(組み合わせ)を含めなければ思考とはいえません。 正義は、正当という抽象から具体策を得ようとする(正しく道をつけようとする、正当化への)意思です。


厚意・相手に利益を及ぼそうとする意思⇔害意・相手に危害を及ぼそうとする意思

これらは正不当と別です。自分の事も考えるようにします。


知性放棄は「わざと」人間辞めて害獣になろうとすることです。その場合、人間扱いされることを求めるのは不当です。



2-04 正不当の定義2-06 思想
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