2-03 第一目的の設定

人類の多数を占める性質の類型


人それぞれの(個別の)欲求を満たすためには、皆同じ(共通の)土台を作る必要があります。 正当という方法以外では、人(特有または共通)の欲求を満たしにくくなります。


楽しみを感じ取る対象は人によって異なりますが、楽しいという心の働きは皆同じ(人それぞれではない)です。 そして、楽しいという感情の定義及び そう感じる対象を知ってもらわなければ、当人が何を楽しいと感じているかという 意思表示も不可能です。他人に話して自分の楽しむ対象を知ってもらい、他人の楽しむ対象を聞いて知ってから、 それを得るべく協力していきます。何を楽しみと感じるかについても全くのばらばらではなく、ある程度の類型があります。


利害は過去から将来に渡っての総計で捉えます。自他は、この先実在することになるであろう無数の子孫までを含めます。


利害関係を認めてから、助け合うか妨げ合うか


第一目的・多くの目的を包括する根本の目的


例えば、私の第一目的は幸福(長く楽しく安全に暮らしていく)です。 それを達成するためには、同一化の感情移入をする相手にも幸福になってもらえなければ楽しくないため、 また、長く安全に暮らしていくためには他者の協力が欠かせないため、第二以降の目的を設定して達成を図ります。


他害主義・第一目的に「他者への危害」を含む主義⇔非他害主義・第一目的に「他者の危害」を含まない主義

自己中心主義(ジャイアニズム)は他害主義の一種です。いいかえれば、他者を必ず二の次にする考え方です。


他害主義者と非他害主義者は利害を調整することが不可能です。どちらかが変節しない限り両者は並び立たず、どちらかを 無力化或いは滅ぼすまで対立し続けることになります。他害主義者と非他害主義者の戦いを止める道理はありません。


倫理教育によって他害主義でなくなる余地はありますが、それでも 「心の底から他者に危害を及ぼすことだけが生きがい」という意思を持ち続ける人や 「倫理なんか知りたくない、私は好き勝手に遣っていく」という人をゼロにすることは困難です。 そういった人たちと折り合いをつけることは困難で、非他害主義者は他害主義者から危害を及ぼされないように、 強制力を用いて対抗措置を取るしかありません。


各自の良心(好き嫌いに拠って他者への処し方を決める心)に任せるだけでは不当です。良心は人それぞれ異なります。



2-02 目的・利害・価値の定義2-04 正不当の定義
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